『競売とは』
2022/04/08
競売とは
競売とは、地方裁判所が行う不動産競売を指します。価格を確定せずに物件を売り出し、これに対して購入したい方がそれぞれに希望価格を申し出る販売方法です。競売は一般的に「きょうばい」と読みますが、法律用語では「けいばい」と読みます。
家を購入するときに多くの場合、銀行などの金融機関で住宅ローンを組みますが、その際に、金融機関ではこの家や土地などの不動産に抵当権を設定します。不動産の購入者(債務者)が住宅ローンの返済ができなくなると、金融機関(債権者)は住宅ローンを回収するために、抵当権をもとに地方裁判所にこの不動産の競売を申し立てます。
競売は、不動産の売却までのすべての手続きを裁判所が行うので、債権者にとっては資金を回収できるメリットがあります。一方で、債務者にとっては市場の相場よりも2~3割、場合によっては5割も安く売却される可能性があります。
バブル崩壊後に不動産の差し押さえ件数が急増しました。民事執行法の改正もあって、競売物件が市場価格よりも安価に入手できることから、不動産会社だけでなく一般の方による入札も増えています。
公売・任意売却との違い
競売とよく似たものに公売、任意売却があります。それぞれの概要と競売との違いについて、以下説明します。
◇公売との違い◇
不動産の差し押さえ、という点で競売と似ているのが「公売(こうばい)」です。競売の債権者は主に金融機関なのに対して、公売は国税局や地方自治体が債権者になります。
公売は、所得税や相続税、贈与税などを滞納した方に対して、国税局や税務署が国税徴収法に基づいて不動産、車、絵画などを差し押さえて、入札方式や競り売り方式によって売却して滞納税にあてるものです。近年は、インターネット公売も増えています。
公売では、買受後の返品は認められないうえ、品質や機能についての保証がないので、一般的には市場価格よりも低い価格(売却価格の最低価格)が設定されます。
また、公売ではまれに旧所有者や占有者が居座っていて、明渡しをしない場合があります。このような場合、競売は引渡し命令の申し立てにより強制執行できるのに対して、公売は明渡し請求訴訟を起こして勝訴しないと強制執行ができないので、競売よりも時間と費用がかかります。
公売の入札に当たっては、公売保証金は売却区分ごとの見積価額の100分の10以上の額となるのに対して、競売の保証金の納付は売却基準価額の2割以上が必要となります。
◇任意売却との違い◇
任意売却とは、住宅の購入者(債務者)が住宅ローンを支払えなくなった場合に、金融機関(債権者)の同意を得て、不動産会社に依頼をして一般市場での不動産の売却を進めるものです。不動産を競売よりも高額に売却することができます。ただし、住宅ローンを組んで1~2年と日が浅い場合や、住宅ローンを返済できる能力があると判断されると、債権者の同意が得られない可能性があります。
このような物件は任売物件と呼ばれますが、競売物件が市場価格より2~3割安い価格で売却されるのに対して、任売物件は通常の仲介と比べると、売主様だけでは決められないという制限があるものの、販売価格は市場価格とそれほど変わらない価格で販売できる可能性があります。
任意売却のメリットは、競売が強制的に進められるのに対して、不動産所有者の希望に沿った形で進められることです。残債も競売よりも少なくなる可能性があるうえ、無理のない範囲で分割返済もできます。引越し費用も債権者との協議によっては、30万円程度まで受領できます。
任売物件を購入するメリットは、市場価格よりは割安で不動産を購入でき、競売物件に比べ不動産の所有者が売却に協力的なことです。競売物件で起きがちな占有者によるトラブルも少ないので、売買がスムーズなことが多いです。
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