『心理的瑕疵とは?』
2022/06/30
心理的瑕疵とは?不動産売却における影響や告知義務について解説
- この記事のハイライト
- ●心理的瑕疵のある物件とは不動産購入にあたり、取得に抵抗を感じる物件のこと
- ●心理的瑕疵は不動産の売れやすさや売却価格に影響を与える
- ●不動産売却時は心理的瑕疵に関する告知義務がある
不動産の売却を検討するにあたり、心理的瑕疵という言葉を目にしたことがある方もいるのではないでしょうか。心理的瑕疵のある物件とは建物や設備などには問題がなくても、購入者が買いづらさを感じる物件を意味します。そこで不動産売却における心理的瑕疵とはどのようなものなのか、売買に与える影響や告知義務とともに解説していきます。
不動産売却における心理的瑕疵とは?
不動産において、住まいに生じている欠陥や問題点は「瑕疵」と呼ばれています。何らかの瑕疵がある物件を売却するとき、売主は買主に対してその内容を正しく告知しなければなりません。一般的に瑕疵とは、雨漏りや壁のひび割れ、設備の故障といった物理的な問題を意味します。そして心理的瑕疵とは、買主が買いたくないと感じるような問題のことです。そのため建物や設備、立地などに物理的な問題はなかったとしても、買主に配慮すべき瑕疵があれば売却前に告知する必要があります。しかし物理的な瑕疵と異なり、心理的瑕疵による影響は目視できるものばかりではありません。そこで不動産売却にあたっては、心理的瑕疵に該当する事由とはどのようなものがあるのか、確認しておきましょう。
◇心理的瑕疵の具体例◇
買主に正しく告知するべき心理的瑕疵とは、主に以下のものがあります。
◇事故物件◇
心理的瑕疵のなかでも、とくに注意したいのが事故物件です。
事故物件とは、自殺や孤独死、殺人事件など死に関する現場になった不動産を意味します。
心理的な抵抗感があり、売却も困難な傾向にあります。
なお病死や老衰、不慮の死(転倒事故や誤嚥など)であれば、事故物件にはなりません。
ただし孤独死のように発見が遅れたときは、注意が必要です。
たとえば長期間発見されず、簡易リフォームでは汚れやにおいが落とせない状態の場合は、心理的瑕疵とみなされる可能性があります。
◇周辺環境の問題◇
物件自体に事故が起きていなくても、周辺環境によっては心理的瑕疵として扱われることがあります。
- 反社会的勢力の事務所が近い
- 悪臭や騒音がひどい(工場や高速道路、鉄道がある)
- 嫌悪施設が近い(廃棄物処理場、墓地、ガスタンク・火薬類貯蔵施設といった危険物を扱う施設など)
- 近隣の迷惑行為(ゴミ屋敷が近くにある)
なお嫌悪施設については、個人の主観や時代性に左右されるものです。しかし地価にマイナスの影響を及ぼす要因になるため、不動産売却では注意を払う必要があります。
そこで所有する物件が心理的瑕疵に該当するかどうかお悩みの際は、ミックハウス株式会社までお気軽にご相談ください。
心理的瑕疵がなくても工夫したいポイント
病院や学校、保育園などは、心理的瑕疵のある施設ではないので買主への告知も不要です。ただし救急車両の走行や子どもの声などを気にして、これらの施設周辺を避ける方はいます。一方でシニアや子どもがいる世帯には、歓迎される施設の一つでしょう。そして夜遅くまでにぎわう繁華街の近くは、ファミリー層は敬遠しがちなエリアです。しかし仕事などで忙しい方にとっては、夜間に立ち寄れる飲食店が近くにあると魅力的に感じるかもしれません。このように周辺環境に影響される心理的瑕疵は、購入希望者の属性によっても大きく変化します。そこで気になる施設が近くにあるときは、どのような層にアプローチするのかも含めて不動産売却を検討していきましょう。
心理的瑕疵が不動産売却に与える影響
物件の心理的瑕疵が不動産売却に与える影響は、決して小さなものではありません。なかなか買主が見つからなかったり、相場よりも安値でしか売れなかったりします。
心理的瑕疵の内容によっても異なりますが、事故物件が価格に与える影響は以下のとおりです。
- 孤独死・自然死:約1割~2割ダウン
- 自殺:約3割ダウン
- 心理的な抵抗の強い事件(殺人など):約5割ダウン
なお周辺環境によるものは、個人の考えやエリアの傾向によって影響の度合いは変化します。たとえば墓地が近くても、窓や玄関から見えなければ問題ないと考える方もいるでしょう。また閑静な住宅街や高台に位置していることも多く、墓地の周辺には基本的に高い建物がありません。そのため静かな環境や、日当たり・風通しの良さを重視する方にとっては、魅力的な物件の一つと言えます。
心理的瑕疵物件を売るときのポイント
心理的瑕疵物件を売却するときは、買主へ正しく告知するとともに、清掃により原状回復しておきましょう。たとえば孤独死が起きていても、告知されなければ分からないほど清潔な状態なら、あまり気にしない方もいます。さらに清掃だけで十分な場合でも、あえてリフォームすることで心理的瑕疵の程度を軽減できる可能性もあります。そこでなかなか買い手が見つからないときは、清掃だけでなくリフォームを検討してみてください。
心理的瑕疵のある物件を不動産売却するときの告知義務とは?
不動産を売却するにあたって、売主には物件の瑕疵を告知する義務があります。これには建物や部屋自体に生じている物理的瑕疵だけでなく、心理的瑕疵も含まれています。告知義務を怠ると、買主から損害賠償を請求されたり、売買契約の解除を求められたりする可能性があるため注意してください。
告知義務を求められる物件の基準
事故物件に該当する場合、どこまでが告知義務に含まれるのかは法律で定められているわけではありません。
過去の判例に照らすと、以下の事由については告知義務があると考えられます。
- 自殺
- 殺人
- 不審死・変死
- 火災による焼死
- 孤独死(発見に時間がかかったケース)
孤独死について、発見にかかった期間がどのくらいであるかの明確な基準はありません。一般的には、特殊清掃が必要になった状況であれば、告知義務が必要だと考えておきましょう。また告知が求められる期間は、売買についてはガイドラインなどによる定めがありません。その多くがケースバイケースなので、事件・事故から年数がたっていても、告知義務があると判断されることがあります。
そこで告知するかどうか迷ったときは、ミックハウス株式会社までご相談ください。
告知義務が発生しないケース
告知義務が発生しないのは、すぐに発見されたものや事件性のないものが該当します。
具体的には、以下のケースが挙げられます。
自然死ですぐに発見された、病死や自然死は、通常の暮らしで避けられない事由です。
すぐに発見されれば孤独死にも該当せず、買主へ告知する義務はないと考えられます。
このほか家族にみとられて亡くなったケースや、救急車を手配したものの間に合わなかったケースも、事件性がなければ自然死と判断されます。
病気で病院に搬送されたあとに亡くなった
室内で体調を崩し、病院で亡くなったケースも告知義務はないと判断されています。
ただし自殺を図り搬送後に死亡した場合は、瑕疵があると判断される可能性があるので注意してください。
住人が外出先で事故死した
直前まで住んでいた方が、勤務中などに外出先で亡くなったケースも告知義務はありません。
このほか隣家や前面道路で発生した事件・事故など、敷地外で発生したものについても、告知義務はないと判断されるケースが一般的です。
まとめ
不動産を売却するときに気を付けたい、心理的瑕疵とはどのようなものなのかご紹介しました。
瑕疵の内容によっては、販売価格に影響することがあります。
さらに告知義務を怠ると、損害賠償や契約解除を求められる場合もあるため、慎重に売買を進めましょう。
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