『任意売却とは?.2』
2022/04/06
任意売却とは?.2 手続きの基本的な流れと注意点について解説
任意売却で不動産を売却するメリット
競売と比べたときの任意売却の主なメリットは、これから解説する5点です。
ただし、以下で述べるのはあくまでも一般論としてのメリットに過ぎません。
個別のケースではそれぞれのメリットを発揮できないケースもあるので、注意が必要です。
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(1)債務者(所有者)が主導権を握って不動産を売却できる
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任意売却と競売とを比較したときの一番の特徴であり最大のメリットは、「自分が主導権を握って財産(不動産)を処分できる」ということです。
裁判所による競売手続きは、「強制競売」とよばれることがあるように、物件の所有者の意思とは離れて(債権者の主導によって)実施されるものです。実際にも、強制競売が実施されるほとんどのケースでは、「所有者としては物件を手放したくない」と考えているケースでしょう。
一方、任意売却は「所有者(債務者)側に(競売よりも有利な条件で)物件を売りたい事情」がある場合に、所有者自身が選択をして行う不動産売却です。
「物件を売られては困る」と考える債権者と交渉をして、物件売却についての同意を取り付けることになる点で違いがあります。
また、競売は裁判所が行う公的な手続きなので、売却を実施するための手続きなどは法律で定められている流れに従うことになります。
そのため、買い手の募集、売却価格の設定なども自由に行うことができません。
任意売却の場合には、基本的に通常の不動産売却と同じになるので、買い手の募集の仕方、価格の定め方についても競売に比べれば所有者の考えを反映させられる余地が生じます。 -
(2)競売よりも高い価格で売れる可能性がある(残債務をより少なくできる可能性)
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上で触れた点にも関係しますが、任意売却は「競売よりも高い金額で物件を売れる可能性がある」点でメリットがあります。
競売は、公的な売却手続きなので、ビフォア・アフターのケアが不十分な場合も多く、買い手の負担が増える、競売情報に接している入札希望者自体が多くないといった事情からどうしても価格が下がってしまいます。
実際の価格は物件の状態や引き渡し条件(買い主が負担するリスク)などで変わるので、個々のケースで差が生じますが、競売価格は市場価格の7割程が相場という人も少なくありません。
任意売却では、通常の不動産売却市場を利用し、できるだけ通常の手順(買い主のケア)で売却をしていくので、売却価格の低下を食い止められる可能性が高いといえます。
物件の条件が良好であれば、市場価格とほぼ変わらない価格で売却できる場合もあるかもしれません。
とはいえ、任意売却を行った場合でも、売却価格は完全に通常の方法で売却した場合に比べて価格を下げざる得ない場合が多いことは頭のなかに入れておくべきです。
なぜなら通常の市場売買に比べて、「買い手を募ることのできる期間が短い」、「買い手に一定のリスク負担(現況引き渡し・公簿売買)をお願いする場合がある」といった可能性があるからです。 -
(3)売却の事情を他人に知られずに済む
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競売が実施されるときには、競売物件に関する情報がいわゆる競売サイト(裁判所が競売情報を公開しているウェブサイト)などに必ず公開されます。
したがって、近所の人や友人などがちょうどそのタイミングに競売情報をみていれば、「自宅を競売にかけられた」ことを知られてしまう可能性があります。
任意売却であれば、通常の不動産売却と同じ方法で販売活動を行うので、「他人に知られる」心配は不要となります。 -
(4)引っ越し代を捻出できる場合も
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競売による売却の場合には、所有者の引っ越し代金は自己負担となります。
「引っ越し代がないから・・・」という理由で引っ越しをできない場合でも、裁判所の命令に基づいて強制立ち退きとなる場合があります。
任意売却を実施した場合には、売却代金から引っ越し代を捻出することを債権者が了承してくれるケースも少なくありません。 -
(5)今の家に住み続けることができるケースもある
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債務整理の一貫として任意売却が実施される場合には、「何とか今の家に住み続けたい」と考える所有者も少なくありません。競売の場合でも、たとえば、所有者の家族・親族が競り落とした後に、無料・安い家賃で貸してもらうといった手法を用いることで、家を売却しても家に住み続けるということは不可能ではありません。
ただ、競売という方法では、確実に家族・親族が入札できるという保証はありません。
任意売却であれば、「誰に売るのか」ということは所有者側で選ぶことも可能なので、親族・家族による買い取り(家族間売買・親族間売買)を経由して、「今の家にそのまま住み続ける」ことも可能となります。
家族間売買・親族間売買ができない場合でも、任意売却と専門業者が提供しているリースバックを組み合わせることで、不動産の売却と今の住まいの確保を両立させられる場合があります。
任意売却することによるデメリット
どのような手続きでも万能なものはありませんので、任意売却にも当然デメリットがあります。実際に任意売却を検討する際には、それぞれのケースで具体的に発生するメリット・デメリットを丁寧に比較した上で、慎重な判断をすることがとても重要です。
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(1)信用情報に傷が付く
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住宅ローンを滞納していた場合、住宅ローンの長期滞納・保証会社による代位弁済があったことは、信用情報にいわゆる「ブラック情報(事故情報)」として登録されてしまいます。
信用情報に事故情報が登録されると、今後の信用取引に大きな悪影響が出てしまいます。
たとえば、借金・クレジットカードの新規申し込みは審査落ちになる可能性が高くなりますし現在保有しているクレジットカードにも「途中解約となる」、「限度額が引き下げられる」、「キャッシングが停止となる」、「更新できない」といった不利益が生じる可能性があります。
なお、事故情報の登録期間は、「登録から5年」が原則ですが、債権者やその後に選択する債務整理の方法によっては、「登録から10年」となる場合もあります。
ただし、ブラック情報の登録は、競売になった場合にも生じる問題なので、「住宅ローンが返せない」という状況に陥っている場合には、任意売却を選択しなければ生じないというわけではありません。 -
(2)任意売却に失敗するリスク
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任意売却は「成功が保証された売却方法」ではありませんから、当然失敗するリスクを抱えることになります。
任意売却が失敗するケースとしては、次の2つの場合を挙げることができます。
●債権者との交渉に失敗する
任意売却が失敗する一番の原因は、債権者との交渉に失敗する(債権者が任意売却に同意してくれない)場合です。
最近では、債権者(保証会社)のなかには、任意売却よりも強制競売を希望する金融機関も増えてきています。
近年では、裁判所サイドも競売物件を高く落札してもらうためにさまざまな工夫を凝らしているため、物件によっては、競売で売却をしても十分な売却価格を確保できるケースも増えてきているからです。
売却価格が同じであるのならば、金融機関にとってはよりオープンでフェアな手続きである、という点で競売の方が優れていると考えることもあるわけです。
それゆえ、任意売却を成功させるためには、金融機関が納得できるだけの販売計画を立てられ、タフな交渉を行える専門家のサポートが必須といえます。
●買い手が見つからない
任意売却では、通常の不動産売却よりも「早く」物件を売り切る必要があります。
特に、債権者がすでに競売を申し立てているケースであれば、買い主を見つけるために与えられた期間も明確に定められています。
そのため、ローン残額が多すぎる場合や、周辺地価が大幅に下落したことで、融資時よりも物件の基礎価格が大幅に下落しているケースなどには、与えられた時間内に債権者が納得できるだけの価格で買い取ってもらえる買い手を見つけられないということもあり得るでしょう。 -
(3)悪質業者に捕まってしまうリスク
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任意売却は、一生のうちに一度経験するかどうかの出来事です。
当然、ほとんどの人が初めての経験となるので、「どこに相談・依頼したらよいのかわからない」、「どの業者・専門家を選べばよいかわからない」というケースの方が圧倒的に多いといえます。
近年では、任意売却を手がける業者・専門家が増えているので、依頼のできる業者・それ自体を見つけることは、それほど難しくないかもしれません。
とはいえ、「どの業者・専門家に依頼すればよいか」というのは、非常に難しい問題です。
たとえば、ネットなどで目にする業者側の示す実績(数)などについても、本当かどうかを検証する術がないので、「最終的には依頼してみないとわからない」というケースも少なくないからです。
特に、ネットをはじめとする「広告・宣伝」の類いは一方的な情報提供になりやすいので、慎重に吟味する必要があります。
任意売却を検討するときには、必ず複数の業者・専門家に相談をして、「慎重に選ぶ」、「甘いキャッチフレーズに惑わされない」、疑問・不安を感じたときには、「セカンドオピニオン(他の専門家に相談すること)を活用する」ことを忘れないようにすべきでしょう。
まとめ
任意売却は、通常は売却することの難しい物件でも自分の意思(イニシアチブ)で売却できるようにするための、とても効果的な手法です。
しかし、「通常はできないこと」を実現させる手続きなので、相応のデメリット・リスクも必ず発生します。それぞれのケースのメリット・デメリットを慎重に検討した上で、任意整理実施の可否を決定すべきです。
また、任意整理を成功させるためには、専門業者や弁護士などの支援が必要ですが、業者選び・専門家選びも慎重に行うことが重要です。パッと目に入った広告などだけで決めてしまうのではなく、複数の業者・専門家と対面の相談をした上で、納得のできる・信頼のできる業者・専門家を選ぶことが大切です。
ベリーベスト法律事務所にはさまざまな債務整理の解決実績があり、対応ノウハウを持っています。ローンが残っている住宅の任意売却でお困りの際には、どうぞお早めにご相談ください。
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