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『価格の安い不整形地 vs家が建てやすい整形地』

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『価格の安い不整形地 vs家が建てやすい整形地』

『価格の安い不整形地 vs家が建てやすい整形地』

2022/11/07

価格の安い不整形地 vs家が建てやすい整形地

 

住宅用地を選ぶ時、誰もが確認するのが、面積や接道方向、そして地形(敷地の形状)。形状の整った敷地なら、ハウスメーカーの規格住宅をはじめ、あらゆる住宅を建てることができます。このため需要も高く、価格は高めになります。一方、傾斜地やいびつなカタチをした敷地は、面積の割には小さな家しか建てられないなど、制限も多く「条件の悪い土地」と避けられがち。一般的に相場より割安になっています。ここで質問です。家づくりの予算が限られている場合、総費用が同じなら、下記①②のどちらを選びますか?

 

①値が張っても整形地を買って、コスパの良い量産型規格住宅を建てる

②設計や建築にコストがかかるかもしれないけれど、不整形地を安く買う

 

おっと、お金の話ばかりになってしまいました!一番大事なのは、快適に住めるかどうか、ですよね。不整形地と整形地のメリットとデメリットを、お金のこと、住み心地や将来性の面から、明らかにしていきます。

 

 

◇整形地が良くて、不整形地は良くない?

 

 すべての土地は整形地と不整形地に分けられます。整形地とは長方形、あるいは正方形に整った形状で、傾斜もなるべく減らして平らにならしている土地です。これに対して、不整形地とは、三角形や平行四辺形、いびつな変形の土地、崖地や傾斜地・高低差のある土地などのことです。そして「旗竿地」も不整形地の1つ。道路に面した部分の間口が狭く、奥にまとまった土地がある形状で、旗の形に似ていることから「旗竿地」と呼ばれている変形地です。不整形地は建物を建てる時にデットスペースができやすく、同じ面積の整形地と比べて建てられる建物の面積や間取りに制限ができてしまいます。希望の建物が建てづらく、敷地の広さに対して小さな建物しか建てられない等のデメリットから、近隣相場より価格が低くなる傾向があります。しかし、個性的な住宅プランを求めるなら、不整形地はむしろメリットになる可能性があります。三角形の敷地なら、鋭角部分に書斎をつくる、坪庭をつくる……、傾斜地なら、高低差を利用して見晴らしを良くするなど、敷地の形状を活かした設計を工夫することができます。

 

◇穏やかに暮らせる「旗竿地」。大きめの家が建てられる可能性も?!

 

 不整形地のうち、都市部の分譲地でよく見られるのが、旗竿地。「竿」にあたる部分は、土地面積に含まれるものの、間口が狭ければ、有効に使うことが難しくなります。奥にある「旗」の部分は、周囲を隣家に囲まれているケースが多く、竿の向きによっては日当たりや風通しが得られにくくなるかもしれません。このようなデメリットを理解したうえでプランニングをすれば、快適で住みやすい家を建てることができます。竿部分の幅が2.5m以上あれば、駐車スペースと通路を設け、旗部分に一般的な形状の家が建てられます。吹抜けや高窓・地窓を設け、光や風を採り込んだり、日当たりのよい2階にリビング・ダイニングを配置したりするのも良いでしょう。旗竿地は、家が建っている部分が道路から離れているので、車の音や通行人の視線が家の中には届きません。穏やかに暮らせるというメリットもあります。高さや方位による制限が緩やかな地域なら、竿部分の面積を活かすことで、3階建てが建てられる可能性もあります。家の大きさは、建ぺい率や容積率で上限が定められています。旗竿地の場合、竿部分の面積を算入すれば、奥の部分の敷地が多少狭くても大きめの家を建てることができます。

 

◇傾斜に“素直”なプランニングで、デメリットがメリットに!

 

 傾斜地に住宅を建てるためには、平坦な土地にすることが必要です。土を切り出す「切土」や土を盛る「盛土」、あるいは両方の工事によって造成を行います。土地が軟弱地盤の場合には、地盤改良の費用も生じます。また、斜面の崩落を防ぐために、擁壁の設置も必要になります。せっかく割安で土地を求めたとしてもコストがかかって、そのメリットを生かせなくなることもあります。そこであえて、平坦に造成せず、傾斜や段差に沿うプランを採用すれば、コストを抑えることができます。例えば、敷地の高低差をそのまま断面計画に取り入れて、スキップフロアの構成に。高さの異なる空間を数段の階段でつなげたスキップフロアは、視線の抜けが良くなるだけでなく、開放感を妨げることなく、空間を仕切ることができます。変化に富んだ複雑で魅力的な間取りが実現できます。傾斜地では、基礎工事にも平坦地での工事に比べて、仮設費や材料費が高くなるのが一般的です。基礎工事のコストを抑えるには、手をつける面積を小さくするのが効果的です。地面に接する1階の面積を最小限に抑え、その上に住宅部分を持ってくれば、基礎工事が少なくなります。傾斜地の低い部分の接地面にあたる1階部分を玄関と物入だけに抑えて、2階以上に居室を配置するプランなどが考えられます。

 

◇割安で税金も安い不整形地は、ホントにお得?

 

 

 不整形地は近隣相場より割安なだけでなく、税金も軽減されます。相続税や固定資産税・都市計画税の評価額は、想定整形地や近似整形地を設定したうえで、不整形地補正率によって最大で40%評価が下げられます。不整形地は、税務上の評価が低いため、税率が抑えられているのです。安く買えて税金まで安いなんて、お得!!と思うかもしれませんが、前述のように造成費用がかかったり、間口の狭い旗竿地で重機が入れない場合、人力での建設資材の運搬等で人件費が高くなり、建築費用が高くついたりして、結果的に総費用が高くなってしまう可能性もあります。一方、整形地は、価格が高くても、敷地面積を有効に活用した建物を建てることができ、接道条件が良ければ、ハウスメーカーの既成プランが収まりやすく、工事もやりやすいなど、結果としてコストダウンにつながることがあります。扱いやすい形状のため、需要が高く、将来売却する際に買い手が付きやすいメリットもあります。

 

◇まとめ

整形地が良くて、不整形地だから良くないのではなく、敷地の形状は、広さや方角などと同様に、住む人のライフスタイルによって評価が異なります。道路から奥まった旗竿地の穏やかな生活を好む人もいれば、急な傾斜地に個性的なデザイナーズハウスを建てたい人もいるでしょう。気に入った土地が不整形地だったら、それはそれで〝良い〟のです。割安な価格に惹かれて購入する場合は、事前に造成や建築費用の見積もりをして、トータルのコストがどのくらいになるか確認しておけば安心です。

 

 

 

 

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